カミラ夫人は無事、王妃になりました。
当初はカミラのあまりの不人気ぶりに、国王婦人という肩書しか与えないという話でしたが、エリザベス女王が自身の在位70周年記念に、「カミラが王妃になることを望む」と表明しました。
カミラ王妃は、今だに「ダイアナ元妃を苦しめた悪女」として嫌われてはいますが、これで欲しいものを全て手に入れました。
夫の不倫が発覚した時
夫が別の女性と関係を持っていたことがわかった時、妻が絶対にしてはいけないことがあります。
「何があっても自分が損をする事だけは絶対にしない」ということです。
でもダイアナ元妃は感情で動くタイプで、戦略というものがほとんどありませんでした。
先ず、自分がどうしたいのか、どうすれば損をしないか。
冷静に戦略を立てるべきでした。
離婚してやり直す場合
その場合、妃殿下の称号と、王室の一員としての特権、皇太子妃の身分や公務など多くのものを失います。
つまり自分の椅子をカミラにあけ渡すことになってしまいます。
復讐する場合
復讐だけなら、チャールズ皇太子が一番嫌がっている状態を、穏やかな笑顔で続けるべきでした。
皇太子は、自分よりもダイアナが目立つことを嫌がっていたのですから、ず~っと目立ち続けて「夫に不倫されても健気に公務に励む妃殿下」を演出すれば、不倫カップルに居場所はなかったはずです。
公の場に妾を連れて出席することはできないので、カミラは一生日陰者で終わります。
皇太子あっての皇太子妃であることを考えれば、夫のことはビジネスパートナーと割り切ることができたはず。
もともと「戦略的に動く」「理詰めで考える」のは、不得手だったのかもしれません。
損をしたダイアナ妃
先ず考えるべきは「どうすれば自分が損をしないか」です。
何も自分が損をしてまで、夫の不倫相手を喜ばせてやることはありません。
ダイアナ元妃の「自分も不倫しちゃった事件」や「テレビで夫の不倫を暴露」などは、「相手にダメージを与えてやりたい!」という感情が勝ってしまった結果に見えます。
テレビでの暴露は、インタビュアーがダイアナ妃と弟の伯爵をペテンにかけて、だまし討ちのような形でダイアナに暴露させていたことが、明らかになっています。
インタビュアーのウソを信じてしまったため、ダイアナは不倫暴露に踏み切ってしまったのです。
理詰めで考える
一時の激情で人生を左右する決断をするべきではありません。
ダイアナ元妃が自暴自棄(不倫暴露)になった時、一番得をしたのは不倫相手のカミラでした。
確かに不倫カップルは、イギリス中の嫌われ者になりました。
でも、カミラが欲しかったのは皇太子だけで、国民の人気なんて最初からどうでも良かったのです。
彼女は賢い人なので、若くて美しいダイアナに代わって、自分が人気者になれるなんて、最初から考えてはいなかったはずです。
ダイアナがテレビで暴露してくれたおかげで、チャールズ皇太子とカミラは公認の仲になり、かえって絆が深まりました。
そして、当初はカミラのことを「性悪だ」と嫌っていたエリザベス女王が、ダイアナの暴露に対して激怒してしまいました。
夫と不倫相手に復讐するつもりが、一番怒らせてはいけない相手を敵にまわしてしまったのです。
王室の誤算
カミラは20代の頃からチャールズ皇太子と付き合っていましたが、皇太子妃の候補には上がりませんでした。
皇太子妃選びの条件はかなり厳しく、バージンであること、上級貴族の令嬢であること・・・カミラは該当しませんでした。
それに比べて、20歳のダイアナ・スペンサー嬢は完璧でした。
王室側は若くて可愛いダイアナと一緒になれば、チャールズ皇太子もカミラなんて忘れるだろう、と思っていたに違いありません。
それに恥ずかしがりやで自信のなさそうに見えるダイアナは、一見従順で御しやすい人物に見えます。
でも、王室の人々はわかっていませんでした。
ダイアナは周囲が思っているより、ずっと気が強かったのです。
突然のカメラのフラッシュや、自分よりずっと年上の王家の人達の集まりに戸惑うことはあっても、「周囲に合わせる努力」はしませんでした。
ダイアナは婚約時代、王室のパーティーに黒いドレスで出席したことがあります。
チャールズ皇太子が「黒は喪の色なので王室では着ないことになっている」と教えた時、ダイアナは「私達はまだ結婚していないし、あまりそんなことは言わない方がいいと思うの」と言い返しています。
カミラなら「知らなかったわ、教えてくださってありがとう。今後は気を付けるわ」と言ったでしょう。
そして「これからも色々教えてくださいね」とか「わからない事ばかりで不安だわ」くらいの事を言って、チャールズ皇太子の庇護欲をかきたてたはずです。
前述の通り、ダイアナ妃は感情で動くタイプの女性でした。
彼女がカミラ王妃のような戦略家だったら・・・もっと賢いアドバイスをくれる友人がいたら・・・
ダイアナ元妃の運命は変わっていたでしょう。
ダイアナ元妃の性格
ダイアナ元妃は美貌と悲劇的な最期故に、性格がかなり美化されています。
優しくてナイーブで寂しがりやさん。
いつも愛に飢えていた少女時代。
それはそれで本当のことですが、決して天使ではありません。
子供時代、ダイアナ元妃は気に入らない家庭教師の婚約指輪を奪って「溝に捨ててやった」ことがあります。
また、父親の再婚相手に平手打ちをくらわせたことも。
どちらも本人がカメラの前で笑いながら語っていたことです。
ダイアナ元妃の来日前に、日本語の挨拶や基礎知識をレクチャーするために呼ばれた日本人がいました。
その方が昔テレビで言っていたのですが、ダイアナは筆記用具も持たずに手ぶらで部屋に入ってきて興味なさそうに話を聞いていたそうです。
「ダイアナ妃はきっとお勉強が嫌いだったのだろうと思った」とその方は言っていました。
思わずそんな感想が浮かぶほど、つまらなさそうにしていたのでしょう。
その後、ボランティアの話題になったとたんダイアナは、突然興味を示して自分から話しだしたそうです。
【ヴォーグの表紙を飾るダイアナ】
この事からもわかる通り、ダイアナ元妃は好き嫌いがハッキリしていました。
「興味のないことはしない」
その性格はきっとカミラ夫人も見抜いていたことでしょう。
感情で動くダイアナ
チャールズ皇太子の不倫がわかってからも、ダイアナ元妃は感情で動きました。
「夫を取り戻すにはどうすればいいか?」という戦略も、「これからどうしたいのか?」というビジョンもないように見えます。
自分も不倫してしまう
ダイアナ元妃は「自分も不倫をしていた」と、公に認めています。
浮気相手のヒューイット大尉は、寂しさにつけこんで来たのかもしれませんが、自分の立場と状況、注目度を考えたら清廉潔白な皇太子妃でいるべきでした。
暴露なんかせずに、王室の他の女性達のように、バレないようにこっそりと恋愛ごっこを楽しめばよかったのです。
ダイアナは王室のような特殊な社会では「体裁を整える」ことがいかに重要か、わかっていませんでした。
以前、ロシアの皇女アナスタシアを名乗る女性が本物かどうか確かめるために、フィリップ殿下とその係累に当たる親戚達がDNA検査に応じたことがあります。
(ロマノフ王朝最後の皇后アレクサンドラはフィリップ殿下の大叔母)
その結果、親戚のうち何人かは異なるDNAを持っていたことが発覚しました。
母親は一緒なのに、父親が違う兄弟がいたのです。
もちろん名前は公表されていませんが、当時の女性も耐えてばかりではなく、こっそり楽しんでいたようです。
エリザベス女王自身もフィリップ殿下の度重なる浮気を、見事に無視しています。
お互いにうまくやって体裁さえ守れば、ある程度のことは許される貴族社会の価値観を持つチャールズ皇太子に対して、ダイアナはあまりに普通の女性だったのかもしれません。
暴露してしまう
ダイアナ元妃の不倫の暴露は、大きな波紋を呼びました。
前述の通り彼女は感情の人なので、戦略は苦手です。
でも本人はそんな自覚がなく、「彼等(王室の人達)をだしぬいてやるわ。私の方が上手なのよ」といった意味のことを言っていたそうです。
彼女はマスコミを操り、自分に冷たかった王室に復讐するつもりだったのでしょう。
「マスコミや人を操る」なんて、ダイアナ元妃が一番不得手で、似合わないことだったのに。
結局お互いの暴露合戦のようになってしまい、皇太子夫妻のスキャンダルは世界中に知れ渡ることになりました。
チャールズがカミラと別れる気がなかったとしても、ダイアナは世界中から愛される王妃になることができたはずでした。
国王よりずっと注目を集める人気者の王妃に。
エリザベス女王の決定
夫妻の暴露合戦は、王室の権威を守る事を何よりも大事にしてきたエリザベス女王夫妻を怒らせてしまいました。
公務先でも二人の不仲ぶりは隠しようがなく、連日タブロイド紙を賑わせました。
とうとう堪忍袋の緒が切れた女王は、皇太子夫妻に「離婚するように」申し渡しました。
これはダイアナにとって、計算外だったといいます。
彼女は不倫カップルを攻撃して恥をかかせたかっただけで、離婚したくて暴露したわけではなかったのです。
協議の末、2人は離婚しますがダイアナは妃殿下の敬称を失い、レディ・ダイアナと呼ばれるようになりました。
ダイアナは離婚の条件交渉の時、妃殿下の敬称を維持することにこだわっていたそうです。
敬称を失った代わりに多額の慰謝料を手に入れましたが、「妃殿下」でなくなったことは痛手でした。
アンドリュー王子と離婚したセーラ妃には、公爵夫人の敬称が許されています。
敬称の剥奪を覚悟していたセーラ妃に、女王は
「私は一度与えたものを取り上げたりしませんよ」
と言って安心させたそうです。
エリザベス女王はダイアナの「暴露」というルール違反が、よほど許せなかったのでしょう。
結構仲良しだった二人
エリザベス女王は「崩壊家庭の娘を受け入れた結果がこれだった」とまで言っています。
フィリップ殿下の方がよほど酷い崩壊家庭だったのですが・・・
その事すら忘れる程、女王の怒りは激しかったようです。
表情に出さないのでわかりませんが、離婚後のダイアナとセーラ妃への処遇の差を見れば怒りの程がわかります。
セーラ妃は度々宮殿を訪れ、アンドリュー王子とも交流を続けています。
こんな所も愛されたのかも
ダイアナは自由と慰謝料を手に入れましたが、敬称と英国皇太子妃の肩書、威厳、王室の庇護を失いました。
その後、お騒がせセレブのような存在になったダイアナは、インド人医師、イスラム教徒で武器商人の息子であるドディ・アルファイド氏らと付き合います。
どちらも将来の国王の継父として、理想的とはとても言えない人選です。
ダイアナはカミラを主賓とした晩餐会の日にぶつけて、自分の水着姿の写真が新聞の一面に載るようはかったりもしています。
カミラ夫人の誕生日にもダイアナのビキニ姿が新聞の一面を飾っています。
見出しは「ハッピーバースデー、カミラ。今年も新聞の一面は私よ!」
ダイアナの華やかな美貌の前に、チャールズ皇太子とカミラの地味なカップルはかすむばかりでした。
結局、ダイアナ元妃は謀殺の疑いが残る謎の多い最期を遂げ、気ままな生活を楽しめたのはほんの短い間でした。
ダイアナにわたった多額の慰謝料や宝石は全て2人の王子たちが相続するので、王室に痛手はなく、チャールズとカミラはその後めでたく再婚しました。
戦略的に動く賢いカミラ
実はチャールズ国王も感情で動くタイプなので、ダイアナ元妃とは一端対立するとどんどん関係は悪化したことでしょう。
そんな2人の間で、カミラ王妃だけは理詰めで動く賢い戦略家に見えます。
チャールズとダイアナの結婚が決まった時、カミラは2人の関係を続けるか否か一応考えたはずです。
新婚のダイアナにカミラは「あなた狩りは好き?」と聞いています。
狩りやオペラ、ガーデニング、田舎の週末・・チャールズ国王が好きなものは全て、ダイアナの嫌いなものでした。
カミラは「興味のない事はしない」というダイアナの性分、子供っぽい考え方(まだ20歳だったので)などを見た結果、チャールズとの相性の悪さに気づいたはずです。
ダイアナはカミラからチャールズを引き離すために、オペラを一緒に見て田舎の週末を楽しんでいるフリをして見せることだってできたはずでした。
王室のメンバー達に気に入られるように如才なく振る舞うことも。
でも、感情で動くタイプの人に「戦略として楽しんでいるフリをする」なんて無理な話です。
説得してもたいてい
「なぜ、私が好きでもないものを楽しんでるフリなんてしなくてはいけないの?悪いのは彼の方でしょ」
と返ってきたことでしょう。
ダイアナ元妃にも色んな知恵や戦略を授けてくれる人はいたはずですが、彼女の性格では無理だったのかもしれません。
「興味のあるフリをする」
「楽しんでいるフリをする」
「体裁を整えてうまくやる」
これはどれもダイアナ元妃が苦手とすることでした。
苦手以前にそんな事をする必要性さえ理解しなかったかもしれません。
カミラはチャールズ国王が何を求めているか、誰よりも理解していました。
チャールズ国王は大人で包容力があって、同じ趣味と価値観を持つ落ち着いた女性を求めていたのです。
そして、何よりも自分を立ててくれる妻を。
ダイアナは若くて美しくて華がありました。
並んで立っただけでチャールズ皇太子より目立つし、彼女のファッションは世界中から注目されました。
ダイアナは結婚当初はなぜか、地味なブラウスに膝下丈のフレアスカートという平凡な恰好をしていましたが、これはチャールズの趣味でした。
好みというより、妻に自分より目立ってほしくなかっただけかもしれません。
ダイアナはすぐに、ヴェルサーチを着こなしてスターの貫禄を身に着けますが、カミラはずっとチャールズの好みに合わせた野暮ったい服を着続けました。
歯並びも直さず、髪型もずっとあのままです。
【幸せそうな二人】
カミラ王妃の実家は資産家です。
歯並びを直してスタイリストをつけて、もっと洗練された髪型やファッションに変えることだって、たやすくできたはずですが彼女は自分を美しく見せることより、チャールズの好みを優先したのです。
ザ・クラウンというドラマには、海外でも注目を浴びて人気者になっていくダイアナを見て、カミラがチャールズに
「私ではとても彼女の人気には敵わない」
と落ち込んでみせるシーンが出てきます。
もちろん、ただのドラマなので事実かどうか不明ですが、カミラ王妃なら戦略として「弱いフリ」「傷ついたフリ」もしたことでしょう。
ドラマに中ではチャールズがダイアナに向かって
「君があんなに目立ったせいでカミラがまいっている」
といった意味のことを言ってなじっています。
理不尽な言いがかりですが、カミラは落ち込んだフリをすることで戦略的にチャールズの庇護欲をかきたてました。
カミラはチャールズに「自分が守ってあげなければ」と思わせることに成功したわけです。
ダイアナ元妃だって夫の愛情と庇護を必要としていたはずですが、彼より目立ってしまったのは失策でした。
「守って上げたい」とは全く思ってもらなかったばかりか、自分より注目を集めるダイアナに対して敵意が向けられてしまいました。
本当はダイアナの方がカミラよりずっと、傷つきやすくてナイーブだったのに。
その後の人生
離婚当初のダイアナは自由とお金を手に入れて、再婚も視野に入れていたかもしれません。
不倫はともかく、暴露さえしなければダイアナには別の人生がありました。
前述の通り、カミラを無視して英国の皇太子妃であり続ける道です。
こっそり誰かと恋愛ごっこを楽しんだとしても、他の王女たちの様にうまく取り繕っておけば良かったのです。
いずれは自分が王妃になり息子が国王になるのですから、王室に反旗を翻す必要などありません。
秘密の恋愛ごっこがバレたとしても、水面下での情事なら女王は大目に見てくれたはずです。
そもそも最初から無理のあった結婚を推し進めたのは、女王夫妻なのですから。
自分の妹や娘と同じことをしただけのダイアナを、王室から追い出したりはしなかったでしょう。
セーラ妃への待遇でもわかる通り、女王は暴君ではありません。
自分が英国の皇太子妃、将来の王妃として注目を浴び続けることこそ、チャールズ皇太子に対する一番の復讐であることに、ダイアナは気が付かなかったのでしょうか。
ダイアナが皇太子妃でいる限り、カミラは一生「親しいお友達」のまま終わったはずでした。
夫のことはビジネスパートナーだと思って割り切れば、今頃は幸せなおばあちゃまになっていたことでしょう。
「離婚できないまま、ダイアナが国王より人気のある王妃になる」
これこそ、チャールズ皇太子が一番望まないことでした。
こうして考えると、ダイアナ元妃は損な選択をした気がします。
ダイアナが自らの地位を捨てた時、一番得をして喜んだのはカミラでした。
メーガンが自分の結婚式の時、狙っていたのに断られてしまったエメラルドのティアラ。
女王の祖母のメアリー・オブ・テックもお気に入りでした。
歴代の王妃や女王自身も度々身に着けた格の高いティアラを、エリザベス女王はカミラには貸し出しています。