カミラ夫人はどうやら次期王妃になりそうです。
当初はカミラ夫人のあまりの不人気ぶりに、国王婦人という肩書しか与えないという話でしたが、エリザベス女王が自身の在位70周年記念に、「カミラ夫人が王妃になることを望む」と表明しました。
カミラ夫人は、今だに「ダイアナ元妃を苦しめた悪女」として嫌われてはいますが、これで欲しいものを全て手に入れました。
夫の不倫が発覚した時
夫が別の女性と関係を持っていたことがわかった時、妻が絶対にしてはいけないことがあります。
「何があっても自分が損をする事だけは絶対にしない」ということです。
感情で動く
自分の感情で動くと、その時は相手にある程度のダメージを与えることができるかもしれません。
傷つけられたら、怒りを爆発させたり泣いたりして当然です。
でも、先ず考えるべきは「どうすれば自分と子供が損をしないか」です。
若くて定職についていて子供がいなければ、そんな夫にかまう必要はありません。
さっさと別れて再婚した方が幸せになれるでしょう。
でも子供がいたり、収入面での不安があれば話は別です。
「自分の気持ちに正直でいたい」からといって、狭い部屋に引っ越してワンオペで子供を育てるより、今の暮らしを守った方がずっと楽なはずです。
何も自分が損をしてまで、夫の不倫相手を喜ばせてやることはありません。
「絶対許せない!」という自分の感情を優先させた結果、一番不利益を被るのは子供です。
一緒に暮らしていた場合と比較すると、子供にかけることができるお金はかなり減ってしまいます。
理想的な再婚相手なんてそう簡単には見つからないし、子供との相性もあります。
理詰めで考える
これは当人にとって煮えくり返る程悔しい事かもしれません。
でも、一時の激情で人生を左右する決断をするべきではありません。
妻が家を出たと知って、一番喜ぶのは夫の不倫相手です。
離婚して自分と子供の生活レベルが下がるのなら、夫を許したフリをして平和な家庭を維持した方がいいはずです。
被害者である妻と子の生活レベルが落ちて、不倫相手が得をするなんておかしな話です。
離婚しなければ不倫相手はこの先もずっと、ただの愛人で終わるのですから。
王室の誤算
カミラは20代の頃からチャールズ皇太子と付き合っていましたが、皇太子妃の候補には上がりませんでした。
皇太子妃選びの条件はかなり厳しく、バージンであること、上級貴族の令嬢であること・・・カミラにはなかなか厳しそうです。
それに比べて、20歳のダイアナ・スペンサー嬢は完璧でした。
王室側は若くて可愛いダイアナと一緒になれば、チャールズ皇太子もカミラなんて忘れるだろう、と思っていたに違いありません。
それに恥ずかしがりやで自信のなさそうに見えるダイアナは、一見従順で御しやすい人物に見えます。
でも、王室の人々はわかっていませんでした。
ダイアナは周囲が思っているよりずっと気が強かったのです。
突然のカメラのフラッシュや、自分よりずっと年上の王家の人達の集まりに戸惑うことはあっても、「周囲に合わせる努力」はしませんでした。
そして最悪なことに、ダイアナ妃は感情で動くタイプの女性でした。
彼女がカミラ夫人のような戦略家だったら・・・もっと賢いアドバイスをくれる友人がいたら・・・
ダイアナ元妃の運命は変わっていたでしょう。
ダイアナ元妃の性格
ダイアナ元妃は美貌と悲劇的な最期故に、性格がかなり美化されています。
優しくてナイーブで寂しがりやさん。
いつも愛に飢えていた少女時代。
それはそれで本当のことですが、決して天使ではありません。
子供時代、ダイアナ元妃は気に入らない家庭教師の婚約指輪を奪って「溝に捨ててやった」ことがあります。
また、父親の再婚相手に平手打ちをくらわせたことも。
どちらも本人がカメラの前で笑いながら語っていたことです。
ダイアナ元妃の来日前に、日本語の挨拶や基礎知識をレクチャーするために呼ばれた日本人がいました。
その方が昔テレビに出て言っていたのですが、ダイアナは筆記用具も持たずに手ぶらで部屋に入ってきて興味なさそうに話を聞いていたそうです。
「ダイアナ妃はきっとお勉強が嫌いだったのだろうと思った」とその方は言っていました。
思わずそんな感想が浮かぶほど、つまらなさそうにしていたのでしょう。
その後、ボランティアの話題になったとたんダイアナは、突然興味を示して自分から話しだしたそうです。
【ヴォーグの表紙を飾るダイアナ】
ダイアナ元妃は、好き嫌いがハッキリしていました。
「興味のないことはしない」
その性格はきっとカミラ夫人も見抜いていたことでしょう。
感情で動くダイアナ
チャールズ皇太子の不倫がわかってからも、ダイアナ元妃は感情で動きました。
自分も不倫に走ったのです。
夫の不倫がわかった時、一番してはいけないのが「自分も浮気してやる」ということです。
これをしてしまうと、関係の修復がさらに難しくなります。
「お前だって好き勝手やってたじゃないか」と言われると、普通は慰謝料だってとれなくなります。
浮気相手の大尉は、寂しさにつけこんで来たのかもしれませんが、自分の立場と状況、注目度を考えたら清廉潔白な皇太子妃でいるべきでした。
さらに、ダイアナ元妃はテレビで不倫の暴露までしてしまいます。
彼女は感情の人なので、戦略は苦手です。
でも本人はそんな自覚がなく、「彼等(王室の人達)をだしぬいてやるわ。私の方が上手なのよ」といった意味のことを言っていたそうです。
彼女はマスコミを操り、自分に冷たかった王室に復讐するつもりだったのでしょう。
結局お互いの暴露合戦のようになってしまい、英国王室のスキャンダルは世界中に知れ渡ることになりました。
チャールズがカミラと別れる気がなかったとしても、ダイアナは世界中から愛される王妃になることができたはずでした。
国王よりずっと注目を集める人気者の王妃に。
カミラの存在など無視して、自分も王室の他の女性達のように、こっそりバレないよう恋愛ごっこを楽しめばよかったのです。
ダイアナは王室のような特殊な社会では「体裁を整える」ことがいかに重要か、わかっていませんでした。
以前、ロシアの皇女アナスタシアを名乗る女性が本物かどうか確かめるために、フィリップ殿下とその係累に当たる親戚達がDNA検査に応じたことがあります。
(ロマノフ王朝最後の皇后アレクサンドラはフィリップ殿下の大叔母)
その結果、親戚のうち何人かは異なるDNAを持っていたことが発覚しました。
つまり母親は一緒なのに、父親が違う兄弟がいたのです。
もちろん名前は公表されていませんが、当時の女性も耐えてばかりではなく、こっそり楽しんでいたようです。
エリザベス女王自身もフィリップ殿下の度重なる浮気を、見事に無視しています。
お互いにうまくやって体裁さえ守れば、ある程度のことは許される貴族社会の価値観を持つチャールズ皇太子に対して、ダイアナの価値観はあまりに庶民的だったのかもしれません。
暴露合戦の末、2人は離婚しますがダイアナは妃殿下の敬称を失い、レディ・ダイアナと呼ばれるようになりました。
ダイアナは離婚の条件交渉の時、妃殿下の敬称を維持することにこだわっていたそうです。
敬称を失った代わりに多額の慰謝料を手に入れましたが、「妃殿下」でなくなったことは痛手でした。
アンドリュー王子と離婚したセーラ妃には、妃殿下の敬称が許されています。
敬称の剥奪を覚悟していたセーラ妃に、女王は
「私は一度与えたものを取り上げたりしませんよ」
と言って安心させたそうです。
エリザベス女王はダイアナの「暴露」というルール違反が、よほど許せなかったのでしょう。
結構仲良しだった二人
「崩壊家庭の娘を受け入れた結果がこれだった」とまで言っています。
フィリップ殿下の方がよほど酷い崩壊家庭だったのですが・・・
その事すら忘れる程、女王の怒りは激しかったのでしょう。
表情に出さないのでわかりませんが、離婚後のダイアナとセーラ妃への処遇の差を見れば怒りの程がわかります。
こんな所も愛されたのかも
ダイアナは自由と慰謝料を手に入れましたが、敬称と英国皇太子妃の肩書、威厳、王室の庇護を失いました。
その後、お騒がせセレブのような存在になったダイアナは、インド人医師、イスラム教徒で武器商人の息子であるドディ・アルファイド氏らと付き合います。
どちらも将来の国王の継父として、理想的とはとても言えない人選です。
ダイアナはカミラを主賓とした晩餐会の日にぶつけるように、自分の水着姿の写真が新聞の一面に載るようはかったりもしています。
カミラ夫人の誕生日にもダイアナのビキニ姿が新聞の一面を飾っています。
見出しは「ハッピーバースデー、カミラ。今年も新聞の一面は私よ!」
ダイアナの華やかな美貌の前に、チャールズ皇太子とカミラの地味なカップルはかすむばかりでした。
結局、ダイアナ元妃は謀殺の疑いが残る謎の多い最期を遂げ、気ままな生活を楽しめたのはほんの短い間でした。
ダイアナにわたった多額の慰謝料や宝石は全て2人の王子たちが相続するので、王室に痛手はなく、チャールズとカミラはその後めでたく再婚しました。
戦略的に動く賢いカミラ
実はチャールズ皇太子も感情で動くタイプなので、ダイアナ元妃とは一端対立するとどんどん関係は悪化したことでしょう。
そんな2人の間で、カミラ夫人だけは理詰めで動く賢い戦略家に見えます。
チャールズ皇太子とダイアナの結婚が決まった時、カミラ夫人は2人の関係を続けるか否か一応考えたはずです。
新婚のダイアナにカミラは「あなた狩りは好き?」と聞いています。
狩りやオペラ、ガーデニング、田舎の週末・・チャールズ皇太子が好きなものは全て、ダイアナの嫌いなものでした。
カミラは「興味のない事はしない」というダイアナの性分、子供っぽい考え方(まだ20歳だったので)などを見た結果、チャールズとの相性の悪さに気づいたはずです。。
ダイアナはカミラからチャールズ皇太子を引き離すために、オペラを一緒に見て田舎の週末を楽しんでいるフリをして見せることだってできたはずでした。
王室のメンバー達に気に入られるように如才なく振る舞うことも。
でも、感情で動くタイプの人に「戦略として楽しんでいるフリをする」なんて無理な話です。
説得してもたいてい
「なぜ、私が好きでもないものを楽しんでるフリなんてしなくてはいけないの?悪いのは彼の方でしょ」
と返ってきたことでしょう。
ダイアナ元妃にも色んな知恵や戦略を授けてくれる人はいたはずですが、彼女の性格では無理だったのかもしれません。
「興味のあるフリをする」
「楽しんでいるフリをする」
「体裁を整えてうまくやる」
これはどれもダイアナ元妃が苦手とすることでした。
苦手以前にそんな事をする必要性さえ理解しなかったかもしれません。
カミラはチャールズ皇太子が何を求めているか、誰よりも理解していました。
チャールズ皇太子は大人で包容力があって、同じ趣味と価値観を持つ落ち着いた女性を求めていたのです。
そして、何よりも自分を立ててくれる妻を。
ダイアナは若くて美しくて華がありました。
並んで立っただけでチャールズ皇太子より目立つし、彼女のファッションは世界中から注目されました。
ダイアナは結婚当初はなぜか、地味なブラウスに膝下丈のフレアスカートという平凡な恰好をしていましたが、これはチャールズの趣味でした。
好みというより、妻に自分より目立ってほしくなかっただけかもしれません。
ダイアナはすぐに、ヴェルサーチを着こなしてスターの貫禄を身に着けますが、カミラはずっとチャールズの好みに合わせた野暮ったい服を着続けました。
歯並びも直さず、髪型もずっとあのままです。
【幸せそうな二人】
カミラ夫人の実家は資産家です。
歯並びを直してスタイリストをつけて、もっと洗練された髪型やファッションに変えることだって、たやすくできたはずですが彼女は自分を美しく見せることより、チャールズの好みを優先したのです。
ザ・クラウンというドラマには、海外でも注目を浴びて人気者になっていくダイアナを見て、カミラがチャールズに
「私ではとても彼女の人気には敵わない」
と落ち込んでみせるシーンが出てきます。
もちろん、ただのドラマなので事実かどうか不明ですが、カミラ夫人なら戦略として「弱いフリ」「傷ついたフリ」もしたことでしょう。
ドラマに中ではチャールズがダイアナに向かって
「君があんなに目立ったせいでカミラがまいっている」
といった意味のことを言ってなじっています。
理不尽な言いがかりですが、カミラは落ち込んだフリをすることで戦略的にチャールズの庇護欲をかきたてました。
カミラはチャールズに「自分が守ってあげなければ」と思わせることに成功したわけです。
ダイアナ元妃だって夫の愛情と庇護を必要としていたはずですが、夫より目立ってしまったのは失策でした。
「守って上げたい」とは全く思ってもらえなかったのです。
本当はダイアナの方がカミラよりずっと、傷つきやすくてナイーブだったのに。
その後の人生
離婚当初のダイアナは自由とお金を手に入れて、再婚も視野に入れていたかもしれません。
不倫はともかく、暴露さえしなければダイアナには別の人生がありました。
前述の通り、カミラを無視して英国の皇太子妃であり続ける道です。
こっそり誰かと恋愛ごっこを楽しんだとしても、他の王女たちの様にうまく取り繕っておけば良かったのです。
いずれは自分が王妃になり息子が国王になるのですから、王室に反旗を翻す必要などありません。
秘密の恋愛ごっこがバレたとしても、水面下での情事なら女王は大目に見てくれたはずです。
そもそも最初から無理のあった結婚を推し進めたのは、女王なのですから。
自分の妹や娘と同じことをしただけのダイアナを、王室から追い出したりはしなかったでしょう。
セーラ妃への待遇でもわかる通り、女王は暴君でも厳しい姑でもありません。
自分が英国の皇太子妃、将来の王妃として注目を浴び続けることこそ、チャールズ皇太子に対する一番の復讐であることに、ダイアナは気が付かなかったのでしょうか。
ダイアナが皇太子妃でいる限り、カミラは一生「チャールズの愛人」のまま終わったはずでした。
夫のことはビジネスパートナーだと思って割り切れば、今頃は幸せなおばあちゃまになっていたことでしょう。
「離婚できないまま、ダイアナが国王より人気のある王妃になる」
これこそ、チャールズ皇太子が一番望まないことでした。
こうして考えると、ダイアナ元妃は損な選択をした気がします。
ダイアナが自らの地位を捨てた時、一番得をして喜んだのはカミラでした。
カミラ夫人は世界中から嫌われましたが、彼女にとってはどうでもいいことだったかもしれません。
カミラはチャールズ皇太子と王妃の座が欲しかっただけで、人気者になりたかったわけではないのですから。